ミングル MINGLE
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Mint Reading Grade Level Formulas / Mint Applications Presents
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もくじ |
- はじめに
- 起動画面
- 計測窓
- 計測の仕方
- 計測結果の保存
- フライ窓
- テキストの分類
- 折れ線窓
- 表示の切り替えや並び替え
- 計測結果の削除やデータのコピー
- サンプル
- major 8
- major 8 と学校教材
- MintGL
- MintGL と学校教材
- major 8+2
- MGJP
- MGEN
- FKGL
- CLI
- FORC
- FryG
- GFog
- SMOG
- LWF
- ARI
- FRES
- リーダビリティ指標とは
- リーダビリティ指標の見方
- リーダビリティ指標の限界
- 読書の仕組みの奥深さ
- リーダビリティの利用例
- リーダビリティと読解問題
- ウェブニュースとリーダビリティ
- バージョンなど全般
- サポート
- 利用登録について
- 送金について
- ダウンロード
- 動作環境
- 索引
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ミングルは 英文のリーダビリティ指標を計測します。リーダビリティ指標は英文の読みやすさを数字で表したもので、適応学年です。学年はアメリカ式に1学年から12学年まで通して数えます。1学年は日本の小学校1年です。中学1年は7学年、高校1年は10学年になります。
ミングルは 10個のリーダビリティ指標を同時に計算します。10個のうち8個はフレッシュ・キンケイド FLesch-Kinkaid Grade Level(FKGL)などアメリカの主要なリーダビリティ公式(major 8)で残りは日本で開発した公式(MintGL = Mint Reading Grade Level)です。MintGL には MGEN と MGJP の2つあります。MGENはアメリカで英語を習得した母語話者向け(Mint Reading Grade Level for Native English Speakers in USA)です。MGJPは日本で英語を学習した非母語話者向け(Mint Reading Grade Level for non-Native English Speakers in Japan)です。
同じ英文でも公式が示す適応学年は異なります。ミングルを使うと、英文のリーダビリティを多角的に知ることができます。
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ミングルを起動すると 計測窓が表示されます。
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リーダビリティを計測する英文を入力します。結果はフライ窓に表示されます。
計測したリーダビリティは保存することができます。保存結果は 折れ線窓に表示されます。
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リーダビリティを計測する英文を計測窓に入力して 【計測開始】 アイコンをクリックします。
英文の入力する方法には3通りあります。
- 【開く】 ボタンから、テキストファイルを開く
- 英文をコピーして、【貼り付け】 アイコンをクリック
- テキストファイルを計測窓にD&D(ドラッグ&ドラッグ)する
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リーダビリティの計測結果は記録して保存できます。
保存した計測結果は 折れ線窓に表示されます。
保存したデータはコピーや削除できます。⇒計測結果の削除やデータのコピー
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計測結果を10個のフライ(楕円形の梭)で表します。このうち9個は英語母語話者向けで、残りひとつは日本人英語学習者向けです。
英検準2級 読解問題文のリーダビリティ
上は英検準2級読解問題文のリーダビリティ計測結果のフライ図です。
左寄りの欄が日本人英語学習者向けリーダビリティ公式 MGJP の適応学年です。高校3年生程度であることを示しています。
この欄のすぐ右にあるメモリが学年を表します。学年はアメリカ式に1年から12年に区分されています。その範囲の外にある−2や13などは 学年表示を単純に等分延長したものです。
メモリの右側が英語母語話者向けのリーダビリティ値になります。LWF、FryG、MGENなどがGL8のあたりに密集しています。Middle School の8学年程度であることが分かります。
この英文は、アメリカで中学2年生に適応するくらいで、日本では高校3年生に適応していると解釈できます。
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フライ窓の右上の4つ円グラフは テキストの分類を表します。
例として 英検の文章の解析結果で説明します。
英検の文章は 級が上がるほどに 会話的要素が減少して複雑で専門的になることが分かります。
英検に見る | テキストの傾向 |
| 会話性 複雑性 専門性 一般性 |
英検5級 |  |
英検4級 |  |
英検3級 |  |
英検準2級 |  |
英検2級 |  |
英検準1級 |  |
英検1級 |  |
| 分類の説明 |
Dialogue | 会話、あるいは会話のような文章 |
Complex | 複雑で長い文章 |
Technical | 専門的な内容の文章 |
General | 一般的な文章 |
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複数の英文のリーダビリティ指標を同時に表示します。計測した英文の読みやすさを他の英文と比較することができます。
保存した計測結果は折れ線窓の一番右側に追加されます。
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- 項目リストのタイトルをクリックすると昇順/降順での並び替えができます。
- 項目を選択して ポップアップメニューから [表示しない] を選びます。
- 再表示するには [開く] からのメニューで選択します
- [グラフ表示] ボックスで 表示するリーダビリティ公式を選べます。
- [補助表示] ボックスで テキストごとの属性を棒グラフで表示できます。
| 補助表示の説明 | |
wps | words per sentence | 単語数で見た センテンスの長さ |
sypw | syllables per word | 音節数で見た 単語の長さ |
dbg | duration of breath group | 内声チャンクの予測時間 |
pps | phrases per sentence | フレーズでみた センテンスの長さ |
wpp | words per phrase | 単語数で見た フレーズの長さ |
psy3 | percentage of words | 長音節単語の割合 |
| with 3 or more syllables |
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保存した計測結果は削除できます。
- 折れ線窓の一覧表から 目的の項目を選ぶ
- 右クリックからポップアップするメニューで [削除する] を選ぶ
その他の操作も メニューを選ぶ。
名前 | 機能 |
コピー | 文書の名前、単語数などのデータをコピー |
項目見出し付きコピー | 項目ごとに見出しを付けてコピー |
すべて選択 | すべての項目を選択する |
タイトル名の変更 | 文書のタイトル名を変更する |
削除する | 文書を削除する(削除すると元には戻せない) |
表示しない | 表示を取り消す |
プロパティ | 文書の詳細情報を表示する |
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Mingle には参考になるテキストをサンプルとして入れてあります。あなたが計測したテキストをサンプルと比べることができます。サンプルは折れ線窓に表示されます。
サンプルには LO、L1、L2 の3種類があります。
| サンプルの種類 |
L0 | English Text for Native English Speakers, Authentic Materials |
L1 | English Language Text for English Speakers, School Text in USA |
L2 | English Language Text for Japanese Learners, School Text in Japan |
- [サンプル] ボックスで サンプルごとの表示切替を行います。
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major 8 は 主にアメリカで開発され 長年に渡りさまざまな分野で使われ続けているリーダビリティ指標です。
詳しくはこちら ⇒major 8+2
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学校教育で使われている英語教材のリーダビリティについて major 8 はどのような値を算出するか調べてみました。検査試料はアメリカのワシントン州とバージニア州の到達度試験と市販教材です。
- 横軸が16冊の教材; 左からバージニア州、市販品、ワシントン州で学年順; 縦軸が適応学年
公式によって大きな開きがあることが分かります。そこで教科書の指定学年との誤差(距離)を計算して見ました。
- 横棒が誤差平均値、ゼロに近いほど予測が当たっている; 縦棒が標準偏差、ゼロに近いほど予測のばらつきが少ない
指定学年との誤差が少なかった順に LWF, MGEN, FryG, FKGL でした。これら4つの公式は標準偏差も1学年以下なので、GL1〜9(小中)で信頼できることが分かりました。
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MintGL(Mint Reading Grade Level) は 新しいリーダビリティ原理に基づいて田淵が開発したリーダビリティ指標で、日本人向けの MGJP と アメリカ人向けの MGEN があります。
日本人向け 詳しくはこちら ⇒MGJP
アメリカ人向け 詳しくはこちら ⇒MGEN
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MintGL は学校の学年別教科書、学年別到達度テストを基準に作成しています。
アメリカ人向けの MGEN と学年別教科書との学年誤差は 0.3±0.8 でした。詳しくはこちらへ ⇒major 8 と学校教材
日本人向けの MGJP と学年別教科書との学年誤差は 0.0±0.3 でした。ただしこれはあくまでも基準教科書7冊についての結果ですから、もっと多くの資料を使うと誤差が大きくなる可能性もあります。
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略称 | 対象 | 正式名称と公式 | 作成 |
MGJP | 日 | Mint Reading Grade Level for non-Native English Speakers in Japan | 2014 |
| | 0.07496*(3*SyPP+2*CPP)+7.926*LOG(PPS)+4.618 | |
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MGEN | 英 | Mint Reading Grade Level for Native English Speakers in USA | 2014 |
| | 0.07662*(3*SyPP+2*CPP)+19.554*LOG(PPS)-3.141 | |
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FKGL | 英 | Flesch-Kincaid Grade Level | 1975 |
| | 0.39*WPS+11.8*SyPW-15.59 | |
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CLI | 英 | Coleman-Liau Index | 1975 |
| | 5.89*LPW-29.6/WPS-15.8 | |
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FORC | 英 | FORCAST | 1973 |
| | 20-15*Sy1PW | |
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FryG | 英 | Fry Graph Grade Level | 1968 |
| | WPSとSyPWを元に2次元グラフより読み取る | |
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GFog | 英 | Gunning Fog | 1952 |
| | 0.4*WPS+40*Sy3PW | |
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SMOG | 英 | Simple Measure of Gobbledygook | 1969 |
| | 3.1291+1.043*Sqrt(30*Sy3PS) | |
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LWF | 英 | Linsear Write Formula | 1967 ? |
| | WPS/2+Sy3PS; if LWF<=10 then LWF-1 | |
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ARI | 英 | Automated Readability Index | 1967 |
| | 4.71*LPW+0.5*WPS-21.43 | |
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FRES | 英 | Flesch Reading Ease score | 1949 |
| | 206.835-1.015*WPS-84.6*SyPW | |
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Mint Reading Grade Level for non-Native English Speakers in Japan
Formula
- MGJP = 0.07496 * ( 3 * SyPP + 2 * CPP ) + 7.926 * LOG( PPS ) + 4.618
- where
- LOG = Common Logarithm / 常用対数
- SyPP = Syllables Per Phrase / 1フレーズに含まれる平均音節数
- CPP = Consonants Per Phrase / 1フレーズに含まれる平均子音数
- PPS = Phrases Per Sentence / 1文に含まれる平均フレーズ数
- Letter = a character that is A to Z or 0 to 9 or an apostrophe
- Word = a sequence of letters devided by non-characters
- Phrase = a sequence of words devided by non-letters
- Sentence = a sequence of words devided by ". ! ? ;"
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
- Grade / 1は小学1年、7は中学1年、10は高校1年、13は大学1年に相当する
- 学年計算は四捨五入(例: MGJP=4.3 はGL4)
Feature
- 日本人英語学習者の適応学年を計算する
- 日本の中高英語教科書を基準にしている
- MGEN を日本人英語学習者向けにカスタマイズしたもの
- BG 理論に基づき、内声のチャンク長に着目した
- 内声のチャンク長と文が長くなるほど読みにくいと評価する
- BG / Breath Group 呼気段落、一息の発声
- BG理論 / 一息の発声は1〜2秒が聞き取りやすい
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Mint Reading Grade Level for Native English Speakers in USA
Formula
- MGEN = 0.07662 * ( 3 * SyPP + 2 * CPP ) + 19.554 * LOG( PPS ) - 3.141
- where
- LOG = Common Logarithm / 常用対数
- SyPP = Syllables Per Phrase / 1フレーズに含まれる平均音節数
- CPP = Consonants Per Phrase / 1フレーズに含まれる平均子音数
- PPS = Phrases Per Sentence / 1文に含まれる平均フレーズ数
- Letter = a character that is A to Z or 0 to 9 or an apostrophe
- Word = a sequence of letters devided by non-characters
- Phrase = a sequence of words devided by non-letters
- Sentence = a sequence of words devided by ". ! ? ;"
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
- 学年計算は四捨五入(例: MGEN=4.6 はGL5)
Feature
- BG 理論に基づき、内声のチャンク長に着目した
- 内声のチャンク長と文が長くなるほど読みにくいと評価する
- アメリカの1年から9年生向けの語学教科書を基準にしている
- 計算結果は FKGL とほぼ重なる(平均誤差は1学年程度)
- BG / Breath Group 呼気段落、一息の発声
- BG理論 / 一息の発声は1〜2秒が聞き取りやすい
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Flesch-Kincaid Grade Level
- 1975
- Flesch and Kincaid; US Navy
Formula
- FKGL = 0.39 * WPS + 11.8 * SyPW - 15.59
- where
- WPS = Words Per Sentence / 1文に含まれる平均単語数
- SyPW = Syllables Per Word / 1単語に含まれる平均音節数
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
- 教材評価に高い定評がある。
- 文と単語が長くなるほど読みにくいと評価する
アメリカの一般的文書はGL=7あたりと言われる
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Coleman-Liau Index
Formula
- CLI = 5.89 * LPW - 29.6 / WPS - 15.8
- where
- LPW = Letters Per Word / 1単語に含まれる平均文字数
- WPS = Words Per Sentence / 1文に含まれる平均単語数
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
- FKGL の変種
- 音節数は数えにくいので 文字数を数えた
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FORCAST
- 1973
- Caylor, Sticht, and Ford; US Military
Formula
- FORC = 20 - 15 * Sy1PW
- where
- Sy1PW = Words With One Syllable Per Word / 全単語に占める 1音節単語の割合
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
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Fry Graph Grade Level
Formula
- FryG = WPS と SyPW を元に2次元グラフより読み取るので簡単な数式では表せられない
- where
- WPS = Words Per Sentence / 1文に含まれる平均単語数
- SyPW = Syllables Per Word / 1単語に含まれる平均音節数
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
- FKGL の亜種
- 線形式を避け、グラフから読み取るようにした
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Gunning Fog
Formula
- GFog = 0.4 * WPS + 40 * Sy3PW
- where
- WPS = Words Per Sentence / 1文に含まれる平均単語数
- Sy3PW = Words With Three Or More Syllable Per Word / 全単語に占める 長音節(3音節以上)単語の割合
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
- FKGL の亜種
- 長音節単語(音節数が3以上)に注目した
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Simple Measure of Gobbledygook
Formula
- SMOG = 3.1291 + 1.043 * Sqrt ( 30 * Sy3PS )
- where
- Sqrt = Square Root / 平方根 √
- Sy3PS = Words With Three Or More Syllable Per Sentence / 1文に含まれる長音節(3音節以上)単語数
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
- 従来のリーダビリティ計測より簡単であることを売りとして発案された
- 長音節単語(音節数が3以上)だけに注目し、その数を数えるだけでよい
- 長音節単語(音節数が3以上)が多いほど読みにくいと評価する
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Linsear Write Formula
Formula
- LWF = WPS / 2 + Sy3PS; if LWF <= 10 then LWF - 1
- where
- WPS = Words Per Sentence / 1文に含まれる平均単語数
- Sy3PS = Words With Three Or More Syllable Per Sentence / 1文に含まれる長音節(3音節以上)単語数
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
- FKGL の亜種
- 長音節単語(音節数が3以上)に注目した
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Automated Readability Index
Formula
- ARI = 4.71 * LPW + 0.5 * WPS - 21.43
- where
- LPW = Letters Per Word / 1単語に含まれる平均文字数
- WPS = Words Per Sentence / 1文に含まれる平均単語数
Result Value
- Reading Grade Level / テキストの適応学年
Feature
- FKGL の亜種
- 音節数は数えにくいので 文字数を数えた
- 米空軍の技術文書を対象としている
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Flesch Reading Ease score
Formula
- FRES = 206.835 - 1.015 * WPS - 84.6 * SyPW
- where
- WPS = Words Per Sentence / 1文に含まれる平均単語数
- SyPW = Syllables Per Word / 1単語に含まれる平均音節数
Result Value
- Reading Ease Score / 読みやすさ値(大きいほど読みやすい)
- 90 -100 Very Easy
- 80 - 90 Easy
- 70 - 80 Fairly Easy
- 60 - 70 Standard
- 50 - 60 Fairly Difficult
- 30 - 50 Difficult
- .0 - 30 Very Confusing
Feature
- FKGL が作られる前の読みやすさ指標
- 読みやすさを0から100までの数値で表す
- 一般文書には60−70が推奨されている
- 学年では9程度にあたる
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リーダビリティ指標とは、読者が読みやすく理解しやすい文章を書くための目安を表すために考え出された数値です。
また 英語学習者が読むテキストを選ぶときの目安としても使われています。
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ある文章を計測して得たリーダビリティ指標をどのように受け止めればよいかは慎重でなければなりません。
たとえばある高校1年生の教科書には25の本文があり、そのリーダビリティ指標を日本人向け公式MGJPで計測すると下図のように大半が中2レベル(GL8.7)から高2(GL11.1)の間にほぼ均等に分布していて、一部が中1レベルと高3レベルになっていました。
高1教科書25本文をMGJPで昇順に並べたもの
比較資料として MGEN, FKGL を半透明で掲載
このことから、リーダビリティでGL10(高1)と計測された文章はGL10±2(中2〜高3)の生徒が対象となることが分かります。
上の図には 同じ本文を英語母語話者用のリーダビリティ公式 MGEN と FKGL で測定した結果も薄く書き込んでいます。その折れ線の凸凹と 日本人向けの MGJP とを比べると興味深いことが見えてきます。
- 英語母語話者ではGL2からGL6くらいの間(GL4±2)に分布している。
- 日本人学習者向けのリーダビリティを昇順に並べているので、母語話者向けでも概ね昇順になっているが、細かく見るとあちこちに凸凹が見られる。
これらから次のようなことが推測されます。
- 母語話者と日本人学習者でリーダビリティ指標に6GLほどの差がある。
- リーダビリティ指標の大小を決める要因が 母語話者と日本人学習者では異なる可能性がある。
フライの大きさには大小の2種類があります。信頼が高いリーダビリティは大きいフライです。下図の例で言えば緑色の Middle School Zone の上端にある FORC が他に比べて小さくなっています。これは リーダビリティ公式にはそれぞれ独自の適用範囲があり FORC は1973年当時のベトナム戦争で増大した兵士を教育訓練するための文書のリーダビリティ計測用に開発したものであり、幅広い一般文書に適応していないからです。FORC は選択肢問題とか申込書などの書式文書に適合していると言われています。
FKGL が教育界で評価が高いのは 学齢期の教材との適合がよいからです。しかしその反面一般文書では不自然に値が高くなる傾向を持っています。
ここで面白い結果があります。日本人向け MGJP を米軍が兵士の訓練用文書向けに開発した FORC と比べてみると 次の図のように重なりました。もちろん凸凹がかなりありますがどちらも中学から高校のほぼ同じ範囲に分布していることがわかります。
これらから次のようなことが推測されます。
- 米軍兵士には英語の読みに不慣れな若者が徴兵されたり志願している場合が多い。
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リーダビリティ指標についてはさまざまな不満や批判が語られてきました。
- 同じテキストなのに 公式によって値が違うので どれを信じていいか分からない。
- あるテキストを同じ公式で計算しているのに ソフトやサイトによって値が違うのはおかしい。
- 単語数や音節数を数えるだけで読みやすさが分かるということ自身 無理があり、安易で信頼できない。
- 文章の構造や内容の複雑さの方が 読みやすさに 大きな影響を与えている。
- まったく無意味ででたらめな文章を捏造しても判別できないのだから リーダビリティ公式は役に立たない。
- 同じ単語数や音節数でも その単語を知っているか いないかの方が問題だ。
- そもそも 人によって知っている単語や興味が違うのに テキストの読みやすさを一律に測っても 無意味だ。
- 日本人英語学習者に 英語母語話者用のリーダビリティ公式を適用できるのか。
- ・・などなど
リーダビリティ指標は便利ですが 多くの道具と同様に限界があります。限界を知ってこそ正しく使うことができます。
リーダビリティ指標の限界を知るにはヒトによる読書の仕組みを知っておく必要があります。その仕組みを簡単に説明したのが次の流れ図です。
読書の仕組み
- note: 読書にはこうした字面を追った読み方以外に、文字を飛ばして読んだり、文字を音声にしないで直接意味を取っていく方法や、文脈やリズムで先読みしたりする場合もありますが、ここではもっとも一般的な英文の読み方に従っています。
筆者が書いた文書を読者が読むと言う流れですが、筆者と読者の頭の中で起こっていることには6つの段階が見られます。前半の3段階は筆者の作業で、後半は読者の作業です。
筆者 | 作業 | 説明 |
第1段階 | 意味 ⇒ 内声 | 書くとき頭の中で唱える声 |
第2段階 | 内声 ⇒ 識字 | 聞こえる声の通りに文字に変換 |
第3段階 | 識字 ⇒ 文書 | 文字を順に書き出す |
読者 | | |
第4段階 | 文書 ⇒ 識字 | 文書の文字を順に読み取る |
第5段階 | 識字 ⇒ 内声 | 読み取った順に声にする |
第6段階 | 内声 ⇒ 意味 | 内声から意味を汲み取る |
第1段階で抱いていた筆者の意味(意図)を読者が第6段階で再現できていれば 読書がうまく行ったことになります。この作業が滑らかに進むとき、その読者にとって読みやすい文書だと言えます。
では読みにくい文書とはどんなものでしょうか?
どうして読みにくい文書ができてしまうのでしょうか?
リーダビリティ指標は読者による読書活動の難易度を推定するものですから、流れ図のうちの第4・5・6段階に話を絞ります。
段階 | 作業 | 読みにくさの主な原因 |
4 | 文書 ⇒識字 | ここで躓いてしまう(つまり字が読めない)ような文書は読書の対象にはしないことが多いので検討から除外する。 |
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5 | 識字 ⇒内声 | 母語話者には障害になることは少ないが、外国語学習者にとっては最初の難関となることが多い。文字が読めても滑らかに(リズミカルに)読めない場合である。 |
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6 | 内声 ⇒意味 | 母語話者でもよくあることで、スラスラ読めても意味がつかめないような状態である。内容が読者にあっていなかったり 話の筋がつかみにくかったりする場合にあたる。 |
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| 全体 | 句読点やレイアウトが適切にされていなくて、文書 ⇒ 識字 ⇒ 内声 ⇒ 意味 の流れに乗せるテキスト情報をうまく切り出せない場合に、どこかの作業段階で滞りや混乱が起こる。 |
こうして見たとき 読みやすさ/読みにくさには主に内声形成の過程(文書 ⇒ 識字 ⇒ 内声)と意味理解の過程(内声 ⇒ 意味)に分けて考えていけばよいことがわかります。
ところで あるところまで読み進んで筋道が合わなくなったことに気づき 少し前にさかのぼって読み直したり、内容が理解しきれないので 文面から離れて頭を整理したりすることは実際の読書でよく経験することです。また英文では ほんの少しの部分でも2〜3度繰り返し読むこと(返り読み)で やっと意味がつかめたりします。
そうした意味で、スラスラ読み進められる場合の読みやすさを予測したのが内声形成過程の難易度を測る公式だと言えるでしょう。
実際 歴代のリーダビリティ指標には主に内声形成過程の難易度を測る物と、意味理解過程の難易度を測る物があります。
MGJP と MGEN は内声形成の過程の難易度を測る物で 教育界で評価の高い FKGL と高い近縁関係があります。Mingle 搭載の major 8 も内声形成の過程の難易度を測る公式であることが分かってきました。
単語の難易度リストでリーダビリティを測るものとしては Dale-Chall Word List が有名です。しかし Dale-Chall の"慣れ親しんだ言葉"には wren、henhouse、bedbug、wo があり、今ではとても"慣れ親しんだ言葉"とは言えません。時代や地域や世代や興味によって語彙親密度は異なります。そこで個人ごとに単語難易度リストを作成する試みもありますが、実現には遠いようです。文法や文構造などでリーダビリティ指標を予測する試みも続けられていますが まだ先が見えないようです。
内声形成と意味理解の両方にまたがってリーダビリティを予測する公式は、残念ながらまだ開発されていません。しかし、主に内声形成過程の難易度を測る今回の MGJP と MGEN 公式を出発点にして リーダビリティ公式の新しい展開が始まるのではないかと期待しています。
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先に上げた読書の仕組みはもっとも典型的なものですが すべてではありません。読書は 他にもさまざまな仕組みで行われています。それは次のような経験で知ることができるでしょう。
- 読めない漢字でも意味が分かって読み進めることができる。
- これは 内声を経ないでも 意味理解が可能であることを示しています。
- 文字や単語が間違っていたり隠れていたりしても 普通に読み進めることができる。
- 慣れ親しんだ言い回しや話題などは 文字を丹念に追わなくても 自然に内声が浮かんでくる。
- これらは 意味が先行して 補完読みや先読みや勝手読みが可能であることを示しています。
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リーダビリティ公式は 学習計画を作るときに役に立ちます。特に 多読多聴で多くの文書から選ぼうとするときの参考になります。ウェブにあるニュースやレポートなどを副教材として使いたいときにも、リーダビリティ値は重要な判断基準になります。使用中の教科書とほぼ同じかやや低いリーダビリティ値を持つ文書を副教材に選ぶと言う考えもあるでしょう。
生徒が書き上げた文章に目を通して添削したりすることは大切ですが、リーダビリティを計測してみることもひとつの客観的評価指標になります。あるクラスの生徒間でリーダビリティ値にどのくらい差があるかを知ることで、指導指針が得られるかもしれません。
教科書を選ぶときの基準にもなるでしょう。検定教科書の種類は多くはないですが、リーダビリティを比べてみると以外に違うことが分かるかもしれません。数字は正直ですから、評価を補完する有力な資料となることでしょう。
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リーダビリティ公式には限界がありますが それでも有用な道具であることに変わりはありません。その証拠のひとつが ⇒major 8 と学校教材 で紹介したように、±1程度の誤差で文書の学年適応を予測できることです。
もうひとつ例を挙げておきます。それは 英文読解問題を解くときの読者の読みの速さとリーダビリティ予測値の関係です。リーダビリティの適応学年が低いほど読みやすい文章なので、受験生はスラスラ読むはずです。この読む速さはWPMで測ります。WPMとは words per minute で、1分間に読む単語数で表します。3クラスの大学生81人(初級レベル)が英検準2級の読解問題を解くときのWPM平均値と その文のリーダビリティ値とを比較しました。すると確かにGLが14から13、12と低くなるほど WPMは100から110、120と速くなっていたのでした。
- note: 点一つが課題文。課題文は英検準2級で約300単語の長文。相関係数は -0.91。
こうした 読みの速さとリーダビリティ値の関係に注目することで、学習者の読解力向上度合いをより精細に測定することできるようになります。これまではWPMだけを測って 速くなったと評価していたものが、問題文のリーダビリティ値を上げたのに 同じ速さで読めたとか、WPMが伸びたけど リーダビリティ値を調べたら 下がっていたから 単純に喜べないとかの考察ができるようになります。
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ウェブ上のニュースを副教材として活用している方は どんどん増えているようです。でも ニュースの発信元によって内容の濃さや量に違いがあります。ここでは ひとつのテーマを追いかけて、その量とリーダビリティを調べてみました。
google の日本語版(左)とアメリカ版で検索しました。
- key word: "new energy policy"
- ジャンル: ニュース
- 絞込み: 検索ツール/期間指定/24時間以内
何がめぼしいかは 教材目的や好みで変わります。The Japan Times や Reuters が目に付きやすいです。
左からThe Japan Times、毎日新聞、Reuters、the Hindu Business Line
記事本文をコピーし、Mingle で計測しました。
コピペするときは 本文以外のコラムなどを入れないようにします。余分な文字が入るとリーダビリティが不安定になります。本文を一度にコピペできないときには、2〜3度に分けてします。
詳細データは計測するごとにコピペしてエクセルなどの文書に記入してもよいですが、Mingle で保存しておいて、後でまとめて取得した方が 何かと便利です。保存した詳細データは 折れ線窓で入手できます。⇒計測結果の保存
6つのニュースを分析しました。GLが学齢期を越えているので FKGL などでは大きな値を算出している部分があります。日本人向け MGJP としては大学後半から社会人レベルで、母語話者向け MGEN としては高校高学年から大学生レベルとなっています。the Hindu Business Line, digitaljournal, The Japan Times が1〜2GL文だけ読みやすいと言う結果でした。
MGJP, MGEN, FKGL を強調
分量(単語数)としては The Japan Daily Press と the Hindu Business Line が300前後と手ごろなサイズでした。
news source | 文数 | 単語数 | MGJP | MGEN | FKGL | | FRES |
毎日新聞 | 19 | 717 | 18 | 16 | 20 | | 22 |
www.reuters | 28 | 755 | 18 | 14 | 16 | | 28 |
The Japan Daily Press | 8 | 270 | 17 | 15 | 20 | | 15 |
the Hindu Business Line | 16 | 390 | 17 | 12 | 15 | | 31 |
digitaljournal | 15 | 417 | 16 | 13 | 15 | | 35 |
The Japan Times | 20 | 561 | 15 | 14 | 16 | | 30 |
右端の FRES は 0〜100の難易度で、それ以外は適応学年GL
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ミングルはコンピュータ上で動作する アプリケーションソフトです。
ミングルはシェアウェアです。
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ソフト名称 | リーダビリティ指標計測ソフト ミングル |
英語名 | Mint Reading Grade Level Formulas |
通称 | ミングル MINGLE |
バージョン | 1.0.2.8 |
動作可能OS | Windows XP, Vista, 7, 8 |
取り扱い | シェアウェア |
料金 | 4,000円(税別) |
試用期間 | 3週間 |
登録条件 | 別記 ⇒利用登録について |
作者 | 田淵龍二 |
サポート | tabuchiryuji@nifty.ne.jp |
販売 | ミントアプリケーションズ株式会社 |
連絡先 | 〒370-0013 群馬県高崎市萩原町950-31 |
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ミングルのサポートは電子メールで行います。
以下の手順でご連絡ください。
- トップメニューの [ ヘルプ ] アイコンをクリック
- ポップアップメニューの [ サポートへメール ] から 目的に合った項目を選ぶ
- メーラーが開くので用件を記入する
- メーラーが開かないときには 別途手動でメーラーを立ち上げて 以下のアドレスをあて先にし 必要事項を記入する
- 作者へのメールアドレス: tabuchiryuji@nifty.ne.jp
- メール送付先に ccを加え あなたのメールアドレスを記入する
- 連絡メールが正しく送信されたかの確認になるので 必ず記入する
- 作者からの返信を待つ
製作配布: ミントアプリケーションズ株式会社
製作著作: ミント音声教育研究所 田淵龍二
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ミングルはシェアウェアです。3週間までは無料で体験試用が可能です。それ以降継続してご利用いただく場合は送金していただく必要があります。
皆様方のお支払いいただいたお金で、ソフトの改良や製作が可能となっています。
ミングルのライセンスは利用者お一人につき1ライセンスを発行します。お一人で複数のPCにインストールして利用する場合は1ライセンス分の送金でけっこうです。逆に一台のPCでも、複数の方がご利用になる場合は、その人数分の送金が必要です。
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料金は1ライセンスにつき4,000円(税別)です。これに消費税を加えた金額が販売単価になります。
消費税 | 販売単価 |
5% | 4,200 円 |
8% | 4,320 円 |
10% | 4,400 円 |
x% | 4,000 ×(100 + x)÷100 円 |
送金は以下のいずれかでお願いしています。
| 送金方法 |
銀行振込 | 銀行:群馬銀行 高崎支店 |
| 店番号:127 |
| 口座番号:1824830 /普通口座 |
| 名義:ミントアプリケーションズ株式会社 |
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ベクター | ミングルの単価にベクターの手数料などが付加された販売価格です |
- 振り込み手数料など送金に関わる諸経費は送金者側の負担となります。
- 領収証は発行しておりません。振込みの控えなどをもって領収書に代えさせていただいきます。
- 銀行振込された場合には必ず作者宛に連絡メールをしてください。メールを頂かないと登録番号(ライセンスキー)をお送りできません。メールには以下の事項を明記願います。記載漏れがありますと入金確認ができない場合があります。
- ・製品:ミングル
- ・本数:
- ・振込年月日:
- ・振込金額:
- ・利用者名:
- ・フリガナ:
- ・振込人名義:(利用者名と異なる場合に必要です)
以下の手順でメーラーが開きますので 必要事項を記入して送信してください。
- トップメニューの [ ヘルプ ] アイコンをクリック
- ポップアップメニューで [ サポートへメール ] から [ Buy 送金連絡 ] を選ぶ
- メーラーが開くので必要事項をもれなく記入する
- メーラーが開かないときには 別途手動でメーラーを立ち上げて 以下のアドレスをあて先にし 必要事項を記入する
- 作者へのメールアドレス: tabuchiryuji@nifty.ne.jp
- メール送付先に ccを加え あなたのメールアドレスを記入する
- 送金連絡メールが正しく送信されたかの確認になるので 必ず記入する
- 作者からの返信を待つ
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送金後は以下のような流れになります
- こちらで送金が確認でき次第、利用者に登録番号(ライセンスキー)をメールで送付いたします。ベクターをご利用の場合は、ベクターから登録番号(ライセンスキー)がメールされます。作者からは何も連絡はありません。
- 登録番号(ライセンスキー)を使ってミングルの利用登録をする。
- ミングルを立ち上げる
- 利用登録窓がポップアップするので、[ 今すぐ登録 ] を選ぶ
- 登録用シートに変わるので 登録番号と名前を入力する
- 登録番号は ハイフンで4つに区切られている
- 利用者名は必ず書き込む
- 入力が終わったら [ 登録 ] ボタンを押す
- 利用登録ありがとうございます。皆様方のお支払いいただいたお金で、ソフトの改良や製作が可能となっています。
- 登録番号(ライセンスキー)は、ミングル再インストールのときに必要になります。必ず記録して大切に保管してください。再発行はできません。
- ミングルのライセンスは利用者お一人につき1ライセンスを発行します。お一人で複数のPCにインストールして利用する場合はひとつ登録番号(ライセンスキー)でご登録いただけます。逆に一台のPCでも、別の方がご利用になる場合は、別途登録番号(ライセンスキー)の購入が必要です。
- 送金されてから、送金を確認して登録番号(ライセンスキー)をメールでお送りするまでに数日かかります。10日以上間があいて登録番号(ライセンスキー)が届かない場合には、恐れ入りますが再度メールいただくか、お電話かお手紙(〒370-0013 群馬県高崎市萩原町950-31 電話 027-353-1091 作者:田淵龍二)願います。
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最新版の入手は こちらから ⇒ダウンロードのページ
Vector からの入手はこちらへ ⇒ベクターのページ
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ウィンドウズ専用です。
マックでは動きません。
マック上のウィンドウズでは動作保障していません。
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A C F G L M S う お き け さ そ だ て ど は ひ ふ み り
【 A 】
ARI
【 C 】
CLI
【 F 】
FKGL
FORC
FRES
FryG
【 G 】
GFog
【 L 】
LWF
【 M 】
major 8
major 8+2
major 8 と学校教材
MGEN
MGJP
MintGL
MintGL と学校教材
【 S 】
SMOG
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ウェブニュースとリーダビリティ
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