大戦後のヨーロッパを歴訪するお姫様と、それを取材する新聞記者が惹かれあうことになるラブロマンス。スクリーンテストを受けて採用されたオードリー・ヘプバーンの映画デビュー作品。映画評論家の水野晴郎氏が「オードリーは私の英語の先生」というほど、分かりやすい英語表現で初心者にもお薦めの一作。監督がレッドパージにあったことからイタリアで撮影し、名前を隠して公開された。

竜巻に吸い上げられた少女の冒険物語。アメリカ原風景をはじめて童話にしたボームの原作を映画化したもの。今日なおベスト３に入る名作（American Film Institute's AFI, 100 Years...）。アメリカ文化を語る上で欠かせない作品。家に帰してくれる術を持つという魔法使いに会いに行く途中でお供に加わるライオンとブリキ男とカカシの筋書きは、日本の昔話桃太郎を彷彿させる。さらに最近の話題作スターウォーズのレイアに仕えるチューバッカとC-3POとR2-D2の配役にも見受けられる

第二次世界大戦下、ドイツ軍に支配された欧州からの脱出者が吹き溜まる北アフリカはモロッコを舞台にしたラブロマンス。自由の国アメリカへのあこがれを描いた戦意高揚映画と見る向きもあるが、時代に翻弄されるハンフリー・ボガード扮するリックの男ぶりと、イングリッド・バーグマン扮するイルザの女心の揺れが見事な作りをなしている。

父親の失業が原因で売りに出されたラッシーと、それをかわいがっていた息子とが織り成す感動のホームドラマ。その後シリーズ化された最初の作品。後代の名女優エリザベス・テイラーが子役として初出演しているのも見逃せない。当時のイギリスの雰囲気や言葉遣い（方言）も伝わってくる記念碑的作品。

ローマの休日から１０年。チャーミングなオードリー・ヘップバーンとちょイ悪おやじのケイリー・グラントが繰り広げる サスペンスコメディー映画。登場人物のほとんどが死んでしまうにもかかわらず 軽いタッチの大人のジョークがちりばめられた作品で 初級から中級者向け。

千夜一夜物語をベースに据えたエキゾチックな冒険娯楽映画。内戦で荒廃が進むイラクのバグダットが王都として栄えていたころの話。宮廷騒動に巻き込まれた芸人一座が繰り広げるどたばた劇。アリ、アラジン、シンドバッド、シェーラザードなど、おなじみのキャラクターが登場する。ていねいな発話で初級者にもお薦めの作品。

ビゼーの歌劇で有名な「カルメン」の原作、プロスペル・メリメの小説「カルメン」の映画化。スペインを舞台に繰り広げられる男と女の情熱、愛欲、葛藤、裏切り、決闘がギラギラとした太陽の下で繰り広げられ、破局へと突き進んでいく。

ヒッチコック渡米第１作となるミステリアスなメロドラマ。地中海の豪華リゾート地で出会ったイギリス貴族と結婚した貧しいアメリカ娘を待ち受けていたものは・・・ 事件か事故か？ 物語を覆う黒い影。サスペンスな展開に引き込まれてしまう作品。中級向け。

1967, 1976, 1986, 2005と今日なおリメイクが繰り返される怪獣娯楽大作特撮映画の原点。その後の映画化と比べて「美女と野獣」のシンプルな作りが、かえって印象に残る。世界を我が物と誤解した文明社会に翻弄されるコングの姿が痛々しい。

母親が大金持ちになったばかりに大都会に送り込まれて大富豪実業家になった息子の一生を描いたサスペンス仕立ての人間ドラマ。この映画の監督であり脚本も書いた主演俳優オーソン・ウェルズは、ラジオドラマ「宇宙戦争」で才能を注目され映画界に抜擢された。その最初の作品がこれで、そのカメラワークや演出は現代映画の原点となっている。

南北戦争の只中に思春期を迎えた勝気でお転婆な娘が、北軍に破れ、結婚に失敗し、奴隷制度の崩壊とともに没落していく白人大地主一家を支えながら、心のよりどころを必死につかもうとする姿を描く。今なお残るアメリカ社会の病根を浮き彫りにする不滅の超大作。南部訛りの強い会話も聞き所。

ノルマンに支配され、虐げられたサクソンたちとともに義賊となった弓の名手ロビンフッドが、シャーウッドの森を拠点にして繰り広げる痛快時代劇。中世イギリスの伝説的な英雄で今なお語り継がれながら夢を育んでいる。

原作はガストン・ルルー（フランス 1909）の小説で、1916年を皮切りにたびたび映画化されてきた古典的名作。パリのオペラ座に仮面の怪人が出没し、奇怪な事件を次々と引き起こす。元楽団員のバイオリン弾きがなぜ鬼になったのか？ 素朴で懐かしい子守唄のメロディをピアノ、歌唱、オーケストラとさまざまに編曲しながら要所にちりばめて物語を紡いでいく。オペラの舞台もたっぷり入っていて、観客になった気分を楽しめる作品。

千夜一夜物語の登場人物のひとりであるシンドバッドが主人公。インド洋で活躍した船乗りの海洋痛快冒険ロマンス活劇。７回の冒険を成し遂げて有名となったシンバッドの８回目の航海は、難破船の発見から始まる。船にあった地図に導かれてたどり着いた宝島で見つけたものは・・・。

主題歌「雨に唄えば」でよく知られているミュージカル映画の傑作。無声映画からトーキーに替わる様子を描いたコメディ風タッチの中に、人間ドラマを織り込んだ名作。俳優が発声訓練に挑む場面は、英語の発音面からも興味深い。お勧めの一品。

サーカス団での人間模様を描いたラブストーリー。華やかなアクロバットやパレードが展開されるのはもちろん、大テント設営や専用サーカス列車など裏方も見所満点。当時のサーカスの栄華盛衰を描いたドキュメンタリーとも言える価値ある作品。

剣の腕がたつ田舎者ダルタニアンが花の都パリに乗り込み、三銃士と共に活躍する七転八倒の活劇。デュマ原作「三銃士」(1844)の映画化。台詞「all for one and one for all」で有名。剣戟シーンが4年後の映画「雨に歌えば」(1952)で使われているから探してみると面白い。

第二次世界大戦勃発直前のスペイン内戦を描いたヘミングウェイの同名小説(1940)の映画化。軍事的に劣勢な共和派を支援するためにアメリカから派遣された工作員の恋と死が織り成すラブストーリー。前年作のカサブランカで上品な婦人を演じた女優と同一人物とは思えない童顔の少女を演じるイングリッド・バーグマンも見所。

優秀な強者は殺人も美徳だと言う手前勝手な考えで完全犯罪を実行したニューヨークのエリート青年二人が追い詰められていくサスペンス心理劇。どんなに正当化しても自分の心は騙せない殺人者の恐れと苦悩をノーカットの長回しで演出したヒッチコックの意欲作。自分の作品に必ず出演していると言われる監督を探すのも一興。

エリザベス・テイラー演じる勝気で優しい馬好きな少女が荒馬を乗りこなし、少年に扮して全国競馬に挑戦するホームドラマ。母役のアン・リヴェールと父役のドナルド・クリスプの掛け合いが、伝統的で堅実でありながら勇気と決断を人生に求めるイギリスの雰囲気を見事に伝えてくれる。

インディアンへの軍事的圧力を強めていた南北戦争後のアメリカでは、カスター将軍率いる第7騎兵隊が全滅するなど、激しい抵抗を受けていた。そうした最前線の一つの砦ではひとりの騎兵隊長（大尉）が定年退役前の最後の任務につこうとしていた。

第二次大戦が終わってしばらくたった花の都パリを舞台に繰り広げられる芸術家を目指す若者たちの処世の日々と友情とラブロマンス。「雨に唄えば」のジーン・ケリーが唄い踊る華やかなショーがたっぷり盛り込まれている。

大規模農場の跡継ぎをめぐって素行不良な実子（弟）と仕事も人品も優れた養子（兄）との物語り。舞台はアメリカ中西部の山岳地帯。牛追いをしていたカーボーイ達の気性や生活を知ることができる。雄大な自然の映像が印象的な愛憎劇。

本国アメリカ以上に日本で評価の高い名作。戦火に焼かれて廃墟となったウィーンを舞台に、オーソン・ウェルズ演じる第三の男の横顔がヘッドライトに照らされて闇夜に浮かび上がるシーンと主題のメロディーが印象的なサスペンスドラマ。第二次世界大戦後に連合国に支配された敗戦国オーストリアに生きる人間模様が生々しい。