Language Reality>Verb Reality

Sentence Reality in Movie Scenes

文型の臨場感

--- 映画で観る場面の文型 ---

文型には 必ず場面が付いている。

動作や振る舞い 様子や状態を表現するのが 文型の役割。文型には それが表現する特有の場面がある。

文型とは 文の作り方の約束事。場面の中で語り手が表現したい気持ちが文型の中に埋め込まれていく。

日本語と大きく違う英語の一番の特徴は 文型に見られる。

  僕は猫を飼っている
  I have a cat.

  僕はのっぽです
  I am tall.

日本語では話題となる物事や姿質が先に述べられて 次にそれへの動作や態度が続く。英語ではこれが逆転する。まず先に動作や態度が述べられて それから次に話題となる物事や姿質が続く。

その様子を映画のシーンで体験する。


  1. 何かを見たときは
      I saw something.
    でいい。誰かが何かをしているのを見たときには
      I saw [ something ].
    の something のところに 「誰かが何かをしている」が入ることになる。つまり
      I saw [ 誰かが何かをしている ].
    となる。
    video 1冒険の旅の果てにたどり着いたエメラルドシティーを案内してもらおうと言う場面。馬車を引く馬が実にカラフルなのを目にして驚きの一言。
    I've never seen [a horse] like that before!

    主語+動詞+対象 のシンプルな表現。
    video 2仕事仲間が手を休めて ドロシーとワイワイやっている場面。そこへ 牧場のおばさんがやってきて一言。
    I saw [you + tinkering with that contraption]
    I saw you tinkering [with that contraption]

    さっきまで修理してたのはどうしたの? と言う気持ち。

    主語+動詞+主語+動詞の繰り返しで テニヲハがない。それでも意味が通じるのは

      主語+動詞+主語+動詞
          ↓     ↓
      主語+動詞 主語+動詞

    と言う括り方の約束があるから。
    video 3反乱に成功した司令官は 王座に就けてやったばかりの男を引き摺り下ろして 自分が王になる野心を抱いている。そのたくらみに 新王の寵愛を受ける踊り子を仲間に引き込もうとしている。見返りに踊り子の恋人を逃がしてやると言う取引を持ちかけた場面。約束を果たす保障があるのかと問い詰められての一言。
    You will see [him + leave the encampment] yourself.
    You will see him leave [the encampment]

    ここの文型も 主語+動詞+主語+動詞 の連続になっているので 規則に従って 2つめの 主語+動詞 をひとくくりとして考える。
  2. want は ~が欲しい と言う将来への希望を表現する言葉。何かが欲しいときは
      I want something.
    でいい。誰かに何かをして欲しいときには
      I want [ something ].
    の something のところに 「誰かが何かをする」が入ることになる。つまり
      I want [ 誰かが何かをする ].
    となる。
    video 1アシュリーへの想いを引きずったまま3度目の結婚をしたスカーレットが アシュリーと古きよき時代を回顧している場面。落ち込んだ気分を吹き払うように打ち明ける アシュリーの一言。
    I'd never want [you + to be anything but completely happy].
    I'd never want you to be [anything but completely happy].

    ここでも 主語+動詞+主語+動詞 の連続は 2つめの 主語+動詞 でひとくくりとする規則に従う。
    video 2ケーンと離婚したオペラ歌手の妻が 記者のインタビューに応じながら 昔を回想している場面。ケーンはオペラ座まで建ててくれたけど 本当は・・・と打ち明ける一言。
    I didn't want [ to sing].
    I didn't want to sing.

    ここでは 主語+動詞+動詞 の連続だが 2つめの主語 me が 最初の主語と同じ人を指しているので省略されたと考えればよい。

    I didn't want [me + to sing].
    I didn't want me to sing.
    video 3森の中に立ち尽くした銅像がしゃべり始めた場面。どうやら 油を差して欲しいようだ。やさしいドロシーが油を見つけて一言。
    Where do you want [to be oiled first]?
    Where do you want to be oiled [xxx first]?

    ここでも 主語 you が省略されていると考える。

    Where do you want [you + to be oiled first]?
    Where do you want you to be oiled [first]?

    一度出た主語は 別の主語が現れるまでは 同じままで省略されると言うのも 英語の前提的規則だ。

      Mary went to bed and fell asleep at once.
      Mary went to bed and she fell asleep at once.
    検索語のヒント>want to
    検索語のヒント>want me to
  3. 理屈では 主語+動詞 の文型をいくらでも入れ子にできる。ここでは 三重入れ子の場面を体験する。
    video 1オペラ座の専任指揮者が ベテランのバイオリニストを呼び出した場面。最近どうも調子がおかしいようなので 確かめようと思って一言。
    「マルタ第3幕の出だしを聞かせてくれ」と言うセルフなのだが分解するとこうなる。

    Let me hear you play the opening movement in the third act of Martha.
       ↓
    Let [me + hear you play the opening movement...]
    Let me hear [you + play the opening movement...]
    Let me hear you play [the opening movement...]
       ↓
    Let [me hear [you play [the opening movement...]]]

    このような構造図を見てすっきりする人よりは いらいらする人の方が多いと思う。そこで 考え方を変えたほうがいい。たとえば Let me hear をまとめてひとつの動詞だとしてしまうのだ。つまり
    Let me hear [you + play the opening movement...]

    よくある表現をひとつの塊 chunk として読んだり聞いたりすることで 理解する能力は ヒトの脳に普通に備わっているので それを活用することにすればよい。
    video 2ローマの名所 真実の口を訪れ うそつきは手を噛まれるんだと 言い伝えを聞かされている場面。口に手を入れてごらんと誘われたけど 怖いので一言。
    「あなたが やって見せてよ」と言うセリフ。

    Let's see you do it.
       ↓
    Let's see [you + do it]. / [ あなたがするのを ] 見せて
    video 3殺到するファンから逃れて飛び乗ったオープンカーを運転していたのは 自称 舞台俳優だった。口ぶりからは 映画俳優をバカにしていることがうかがえる。そんなに言うならと切り返して一言。
    「舞台を 見たいものだ」と言うせりふ。

    I'd like to see you act.
       ↓
    I'd like to see [you + act]. / [ あなたが演じるのを ] 見たいものだ
    検索語のヒント>I'd like to
  4. make は物や状態を変えて 新しく別のものを作り出すときの言葉。

    ~ make [something].

    I'll make [a cat]. / ボクは ネコを作ることにする。
     ネコのぬいぐるみでも作るのだろう。
     作ったネコを 人にあげるときには
     I'll make [a cat] for you. / 君にネコを作ってあげよう。
     となる。これを次のように言い換えることもできる。

    I'll make you [a cat]. / 君にネコを作ってあげよう。
     となる。
     これを 次のように読み替えることができるだろうか?

    I'll make [you a cat].
     [you a cat] / [君が ネコである] 状態を作り出そう。
     もし 魔法使いなら -- ネコに変えてしまうぞ。
     もし 舞台監督なら -- 君の役はネコだ。

    場面によって 柔軟に読み取ることが求められている。
    video 1南北戦争に敗北し 北軍に法外な税金を要求された没落農園主のスカーレットは 金策に回るための一計を案じて 居残った乳母に カーテン生地でドレスを作るように命じている場面。
    「ドレスを 作って」と言うセリフ。
    You'll make me a new dress.
       ↓
    You'll make me [a new dress]. / わたしに ドレスを 作って
    video 2演技中に転落して スターの座を離れたセバスチャンが かつての同僚の演技に見入っているところへやって来た道化師。事情があって道を踏み外したがためにサーカスに身を寄せつつも 道化師役に心を込めるバトンズが 挫折を味わいつつも立ち直ろうとする同僚に 人生の先輩としてかける一言。
    「ボクは道化師、君は売り子、一生懸命 仕事しなくっちゃ。」と優しく諭すセリフ。
    Life has made me a clown.
    It'll have to make you a better businessman.
       ↓
    Life has made [me a clown]. / わたしを 道化師に 作り変えた
    It'll have to make [you a better businessman]. / 君は 一人前の販売員に ならなくちゃ
    video 3スペイン内戦に派遣された米軍将校ロベルトは 破壊活動に成功しながらも負傷し 味方を撤収させるための捨て駒になることを覚悟する。無理やり撤収させられることに抵抗し 一緒に居残って死を共にしようとする娘マリアの叫び。
    「いや! 行かない!」と言うセリフ。
    Please don't make me go!
       ↓
    Please don't make [me go]! / わたし連れて行かないで
    検索語のヒント>make ~1 a
    検索語のヒント>make ~1 go